2020 9月コラム 心理面から見た若者たちの成長の様子

9月。まだまだ残暑が続いておりますが、真夏とはやはり違う風を感じるこの頃です。とはいえ、野外でのスポーツの練習は正直まだかなりキツく、スポーツドリンクや塩分をちょこちょこ摂りながらしっかり休憩も取りつつ、熱中症対策には気が抜けません。
コロナとの同時対策、大変です!でも、がんばる!!

 

さて、私が若者達と関わり始めてから、早いものでかれこれ足掛け三年程になります。私は生来非常にオープンであっけらかん、物怖じという事をしない性格なので、皆に馴染むのはかなり早かったと思います。

皆からすると、もしかしたらそんな私の雰囲気に初めは戸惑ったのかもしれませんが…でもしかし、私はそんな事はお構いなしなので、あっという間に仲良くなれた気がします。

 

ですが、私の周りにいる若者達一人一人は勿論全員そんなキャラクターではありません。皆繊細で、臆病で、慎重で、考えすぎの傾向があり、そしてとても純粋で真面目で… でも中々自分に自信が持てず、心をオープンにする事はなかなか難しい… そんな人達ばかりです。

そして私は勿論、そんな彼らの立ち位置は重々承知の上で関わりを始めています。

だから、大きな問題やトラブルは起きないわけです。しかしそのようなわけですから、色々な意味で「ラクな世界、簡単な世界」ではない、というのが正直な所です。

 

ですが、そんな彼らも着実に確実に成長している。内面的にも、現実的・行動的にも。それは疑いようのない事実です。今回はそんな中から「心理面・内面」についての成長という事を、少し取り上げてみようと思います。

 

私はあるスポーツチームの代表を務めています。代表、といっても、普段はマネージャー(実質的には“何でも屋”)という立場で練習にも毎回必ず参加し、皆に混じってグラウンドに立ったりもしています。ですから、責任者・指導者・保護者でもありながら、実質的に「仲間」なのです。

背番号入りのユニフォームも勿論持っています!背番号は、大胆にも「1」(笑) しかしこの「1」という番号には、私なりの「責任」「使命」という、重い意味合いが込められている…そう思っています。

 

スポーツというのは、不思議な力を持っている。それが、三年近く彼らと一緒にスポーツを通して関わってきた中で感じた事。

スポーツは、基本的に言葉をあまり必要としません。極端に言えば、複雑なルールや状況が関わらなければ、身振り手振りでもどうにかなってしまう。

つまり、身体さえ動かせればコミュニケーションが取れるのです。そして、表情。テレビ等で試合を観ていても思う事ですが、良いプレーをした時のお互いの気持ち、これはむしろ表情と、そして体を使って伝わるのです。

例えばサッカーのゲームにおいて、シュートがズバッと決まった後に、仲間同士が抱き合って歓喜している時のあの表情。あれが全てを伝えてくれますよね。

 

私のチームの選手たちも、普段は表情豊かとは言えない人が殆どと言っていいくらいなのですが、仲間とプレーしている時は中々良い顔をしています。

特に、試合に勝てた時は殆ど全員が笑顔です!喜びの気持ちが、自然に笑顔にしてくれる。本当に素晴らしい事です。

 

そして、そうやって少しずつ少しずつ心が解れてくると、不思議に態度や行動、人生への向き合い方にも変化が出てきます。

元々不登校やひきこもり、ニートのような状態だった人も、自分の中の何かが活性化し勢いづいてきて、「バイトでもしてみようかな」「このままはまずいよな」「どうにかしたい、しなくちゃ」という風に変わってくるのです。

スポーツを始めたら、仕事に対する気持ちの変化が出てくる。考えてみると不思議な事です。一見、何の関係もないようにも見えますから。

でも、決してそうではないという事を、私はこの目で見てきました。これは、事実なのです。

 

おそらく、身体を動かすことによって「心」に変化が生まれるのだと思います。感情、気持ちをいきなり変える事は難しい。

沈んでしまう心を、上げよう、元気にしよう、と意識でコントロールする事はとても難しいのです。しかし、行動を変える事、体を動かす事は、それよりはやりやすいのです。

ましてや、共にプレーしてくれる仲間がいれば尚更。そして仲間は多ければ多いほど力をくれます。1人2人より、5人、10人。人数が増えると、そこには「場」が生まれます。

その「場」の力によって、一人一人のパワーがどんどん上がっていき、そして皆の力によって、一人一人の心の力も強くなっていくのです。

これがチームの力、仲間がくれるパワーです。そしてそれにずっと触れていると、一人一人の心の力もだんだん明るくなり、どんどん強化されていくのです。

 

私のチームの仲間たちは、そうやって少しずつ心を開けるようになり、それは行動や態度にも変化をもたらしました。今までにも何度も、「自分はこの場所があるから、仕事が頑張れました。ここまでやって来れました」そんな言葉を聴かせてもらいました。

それは私にとって、何にも勝る宝物です。またそんな素直な気持ちを、仲間の前で言葉として伝えられるようになった事自体、私はすごい事だと思うのです。

 

心の変化、それに伴う行動の変化、生活・人生の変化。これらは一つの線で繋がっています。どこが出発点でもいいのです。

でも、とにかく過去の自分、昨日の自分、今の自分を超えていく事。それを目標に、これからも仲間達、そしていつか出会うまだ見ぬ皆さんの心と丁寧に向き合いながら、一歩一歩しっかりと歩き続けていきたいと思います。

 

株式会社ツクリベニッセ
キャリアコンサルティング事業部
事業部長 齊藤亜希子

2020年9月10日
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